2020年03月30日

新型コロナ対策の的確なレポートを紹介します。筆者は元阪大総長、平野俊夫教授(医学博士、免疫学、腫瘍病理学)です。

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新型コロナ対策の的確なレポートを紹介します。筆者は元阪大総長、平野俊夫教授(医学博士、免疫学、腫瘍病理学)です。


政府、マスコミの新型コロナウイルス報道は科学的根拠に欠けてよく理解できません。平野俊夫教授のレポートがたいへんわかりやすく的確だと思います。少し長いですが、どうぞご覧ください。


平野俊夫教授のレポート

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3月27日:なぜCOVID-19はこれほど恐れられているか?

〜過度に恐れる必要はないが、決して敵を甘くみてはいけない!〜


最近、知り合いの開業医から、「季節性のインフルエンザでさえ毎年60万人の人が世界で死亡しているのに、なぜ新型コロナウイルス(まだ2万人しか死亡していない)でこれほど世界中が大騒ぎしているのか?」という質問を受けました。

確かに政府の説明を聞いているとオーバーシュートとか感染爆発の危機が目の前にあるので、ひたすら自粛に協力してほしいというだけで、なぜこのまま放置しておくと、どのように大変なことになるという具体的な説明がありません。いかに深刻であるかという事実をよく説明した上で、だからこそ、そのような深刻な事態に陥らないために対策するのであると、訴えなければ説得力はないと思います。また本当は1万メートル競争、あるいはフルマラソンなのに100メートル競争のように全力疾走をすると、フルマラソンはもちろん1万メートル競争も完走不可能です。


COVID-19との戦いは100メートル競争(水際作戦は100メートル競争です)ではなく、パンデミックになった現時点では、1万メートル競争、あるいはフルマラソンであることを認識する必要性があります。ペース配分を十分に考えて走る(対策を立てる)必要があると思います。


目次:1)前書き;2)結論;3)結論に至る理由


1)前書き

昨年12月に中国で発症した新型コロナウイルス感染症( COVID-19)は当初中国政府が情報公開せず、また事態を甘くみていたこともあり、瞬く間に武漢を中心に中国に広がりました。その後ダイヤモンドプリンセス号の感染症騒ぎがありました。2月24日に開催された専門家会議が、今後1−2週間が瀬戸際であるとアナウンスしました。その後学校の休校が始まりました。ヨーロッパ、特にイタリアの感染拡大にも関わらず日本はなんとか押さえ込みに成功した感がありました。しかし最近は日本全体に気の緩みがでて危険な状態にありました。


そのような中で、大阪では3月20−23日の3連休は大阪と兵庫県の行き来の自粛要請が大阪府知事よりありました。3月25日には東京都知事が緊急記者会見を開きました。そして26日に政府が対策本部を設置し、いつでも緊急事態を宣言できる体制を整えました。このように、今、日本は感染爆発の瀬戸際にあります。

世界に目を向けると中国に端を発した感染流行は今やヨーロッパに広がり、イタリアでは医療崩壊が起こり死者は中国の2倍以上になりました。そして流行地はアメリカに移りつつあります。世界で44万人が感染し死者は2万人以上になりました。インドは13億人の国民の外出禁止、移動制限を発令しました。中国が情報公開しなかったのがそもそもの原因ですが、欧米やWHOも当初甘くみていた節があります。おそらく以前の新型インフルエンザ、SARASやMERSのように封じ込めに成功すると考えていたのではないかと思います。しかし、封じ込めに失敗し、世界にウイルスが拡散してしまい、もはや後戻りができない状態にまで進展してしまいました。

では、なぜ新型コロナウイルス感染症は恐れられているのか?季節性インフルエンザとなにが異なるのか?


まず、心理的な側面があります。季節性インフルエンザはワクチンと治療薬がありますが、新型コロナウイルスに対してはワクチンも治療薬もありません。人は、自分でコントロールできないことに対しては漠然と不安を抱きます。しかし、単に心理的な側面だけではなくもっと重大な客観的な事実があります。

人類の歴史は感染症との戦いであったと言っても過言ではありません。中世ヨーロッパでは人口の50%近くがペストの流行で死亡し、ヨーロッパの中世封建体制が崩壊しました。アステカ文明やインカ帝国の滅亡も感染症が大きな原因となりました。16世紀当時、北米や南米には天然痘がそもそもなかったので、現在の新型コロナウイルスのように人々は免疫がありませんでした。


一方、ヨーロッパ人では天然痘の流行がしばしばあったのである程度免疫がありました。わずか200人のスペイン人兵隊のなかで一人が天然痘にかかっていました。この一人からインカ帝国2000万人にあっという間に天然痘が広がり半数近くの人々が死亡したと考えられています。そして、インカ帝国は1年でスペインに降伏しました。新型コロナウイルスは当時のインカ帝国の人にとっての天然痘に相当します(もっとも天然痘の致死率は50%ぐらいなのではるかに危険ですが)。


2)結論

1)何もせずに放置すると終息するまでに、日本では最悪、70万人から250万人、世界では1.9億人が死亡する。この数字は第二次世界大戦の死亡者(世界全体で6000~9000万人、日本では300万人)に相当するかそれを上回る。

2)ワクチン開発は終息を早めるための要だが、開発に少なくても2−3年あるいはそれ以上かかる(1年で可能というのは気休め)。

3)治療薬の開発により死亡者の数を減らすことができるが、新しく治療薬を開発するためには5~10年はかかる。既存の治療薬の中に効果があるものがあれば最短数ヶ月以内に治療現場で使用可能になる可能性がある。

4)今後、終息までに1−2年はかかるので、長期戦(1万メートル競争)と考えて心の準備や日常生活を可能な限り正常に続ける工夫、そして仕事も可能な限り正常な活動ができる個人的な工夫(会社/組織/国としての工夫は当然必要)をしていかなければならない。この間、各地域では流行の波を起こしながら、世界中のどこかで流行している状態が続く。したがって日本で流行が終息したとしても海外からウイルスが流入するし、国内でもまた流行が起こる。このように流行の波を作りながら最終的に国民の30−60%が感染して免疫を獲得するまでは終息はしないと考えられる。


5)個人的には、感染防御に努める。まずは丁寧な手洗いを頻繁に行う。可能な限り家庭に持ち込まないように玄関でアルコール(70%エタノールか0,05%次亜塩素酸)で手を消毒してから家に入り、さらに石鹸で丁寧に手洗いする。食事の前、料理の前、その他機会があればこまめに石鹸で手洗いをする。もちろん勤務先でもいつもより頻繁に手洗いする(可能な限り石鹸で)。

6)3条件を避ける。密閉空間(換気をする);近距離での会話;手の届く距離に多くの人がいる。

7)このウイルスは細胞膜が脂質でできているので界面活性剤(石鹸)で簡単に破壊される。また飛沫感染なので以上の3条件を守るとともに、手洗いを頻繁に行えば感染するリスクを限りなくゼロにできる。

8)日頃の生活において睡眠を十分にとるとともに、過労を防ぎ、栄養価の高い食事に心がけて免疫力を十分に維持することを心がる。

9)幼児や若い人は発症しないか軽症ですむという点は、未来に希望がある。しかし幼児や若い人でも重症者や死亡者が出ているので安心はできない。一旦重症になれば人工心肺を装着しなければならないほど危険な状態になる。

10)幸いにもはしかのように空気感染ではなく、飛沫感染なので、手洗いを励行して、3条件を厳格に実行すれば感染は防ぐことが可能。過度に恐れる必要はない。あくまでも冷静な行動が求められる。



3)結論に至る理由

1)死亡率が高い(季節性インフルエンザは0.1%に対して新型コロナウイルスは4.6%(0.5%~10%))

季節性インフルエンザは確かに世界中で25−60万人が毎年死亡する。また日本でも3000人から1万人が毎年死亡する。日本では毎年1000万人ぐらいが季節性インフルエンザに感染していると推測されています。すなわち死亡率は0.1%です。これに対して、新型コロナウイルスでは死亡率は現時点で世界の平均値は4.6%(20308/440295X100=4.6%)です。もちろんドイツの0.5%から医療崩壊に落ちいっているイタリアの10%までそれぞれの国の医療体制などの異なりにより死亡率は異なりますが、世界中を平均すると現在4.6%です。ちなみに日本では3.5%です。PCR検査を増やせば日本国内の感染者数が増える結果、死亡率は減るとは思います。


2)ワクチンが存在しないことの意味

免疫学的にはこのような感染症が終息する条件は集団免疫閾値(Herd immunity threcshold;ワクチンや自然感染により集団が免疫を獲得する割合)で決まります。この割合は以下の式で決まります。

H=(1-1/Ro)x 100

H:herd immunity threshold(集団免疫閾値)

Ro:basic case reproduction rate(一人の患者が何人に感染させるかの数)

例えば、新型コロナウイルスのケースで、Roを2.5人とすると、(1-1/Ro)x 100=(1-1/2.5)x100=60%となります。もし1.5なら33%です。1なら、0%となり感染が集団に広がることはありません(一人が一人に感染させても、元の人は免疫を獲得して治癒するか、あるいは死亡する)。1.1人以上なら感染が集団全体にひろがり、Roが大きければ大きいほど集団免疫閾値は大きくなります。


通常はワクチン接種と自然感染の両方合わせて集団免疫閾値を獲得すると感染が終息に向かうことになります。しかし新型コロナウイルスに対するワクチンが現在存在しないという状況下では、約6割の人が自然感染して免疫を獲得しなければ終息に向かわないことになります。これが、イギリスやドイツの首相が1−2年かけて、国民の6−7割が感染するだろうと言っている根拠です。


現実的な問題として、何もせずに放置すれば急激に感染者が増加する代わりに終息に向かう期間も短くなりますが、その間に多くの人が重症となり医療機関が対応できなくなり、その結果としてイタリアで起こっている医療崩壊により多くの人が死亡することになります。これを防ぐために、隔離などで感染の広がりのスピードを穏やかにしていくという政策が様々な手段で講じられています(テレワーク、自宅隔離、イベント中止、都市封鎖や広域地域封鎖など)。


今回の新型コロナウイルスのケースでは、ワクチンがないので、60%の人が感染するまで終息しないことを意味します。これを日本に当てはめると1.2億の60%すなわち7200万人が感染しなければ終息しません。死亡率を仮に1%としても72万人がなくなります。3.5%なら252万人が亡くなる計算になります。世界の人口を仮に70億とすると、42億が感染し、1.9億人(死亡率4.6%とすると)が死亡することになります。


ワクチンが存在すれば多くの人に人工的に免疫を付与できますので、当然感染して発症する人は激減します。現在の季節性インンフルエンザはワクチンと自然感染を合計して免疫のある人の割合が集団免疫閾値(季節性インフルエンザでは33~50%)を達成することにより感染者の数がある一定以内に抑えられています。


以上のように、たとえ死亡率が高くてもワクチンがあれば集団免疫閾値をワクチンにより達成することにより発症者の数を減らすことにより死亡する人の数を減らすことができます。このようにして人類が克服した典型例が天然痘です。人類の歴史に脅威を与えていた天然痘はワクチン開発により20世紀に世界から撲滅することができました。


ちなみに、様々な感染症のRoは以下のようです。

新型コロナウイルス:1.5~2.5—>H=30%~60%、

季節性インフルエンザ:1.5~2->H=33%~50%

はしか:12~18—>H=92~94%

百日ぜき:5~17--->H=80~94%

天然痘:5-7---->H=80-86%


感染症の脅威は、死亡率とRoにより決まります。さらにワクチンがあれば集団免疫閾値を達成することが容易になります。


3)治療薬がないことの意味。

抗ウイルス薬があれば感染しても軽症で済みます。また重症呼吸器不全の治療薬があれば死亡者の数を限りなく少なくできます。治療薬はウイルス感染により引き起こされる病態を軽減しますが、治療薬がウイルスを完全に追い出すわけではありません。治療薬には、1)ウイルスの増殖、2)ウイルスの細胞へ感染、3)細胞内からウイルスが出る(結果として他の細胞に感染)、などのそれぞれのステップを抑制する抗ウイルス薬や、重症呼吸器不全の治療薬があります。抗ウイルス薬は体内でのウイルスの増加速度を抑制することができますが、単独でウイルスを完全に追い出すのは無理です。例えば、生まれながらに免疫を欠損している人は、あらゆる抗生物質や抗ウイルス薬を使用しても一年以内に感染症でなくなります。


では、抗ウイルス薬はなにをしているかというと、ウイルスの増加速度を抑制して、免疫が活性化するまでの時間稼ぎをしています。最後に免疫が働き、ウイルスを体から完全に追い出します。すなわち治療薬はあくまでも免疫が活性化されるまでの間、時間稼ぎをしているにすぎません。もちろん、治療薬があることにより死亡率を著しく下げることができるので、1日も早い治療薬の開発が望まれます。ということで、日頃の生活において睡眠を十分にとるとともに、過労を防ぎ、栄養価の高い食事に心がけて免疫力を十分に維持することを心がけてください。


最後に、

新型コロナウイルス感染症の深刻さを理解していただけたと思います。やはり現実を見据えて行動をすることが重要です。新型コロナウイルスの深刻さに関して私の見解が間違っていれば良いとは思いますが、現実逃避は避けなければなりません。少なくとも言えることはこの先1−2ヶ月で終息するものではないと言うことです。以上の私の見解が誤りであり、夏には世界中で終息していれば本当に良いと思いますし、そのように心から願っています。しかし覚悟はしておかなければなりません。そしてそのことを頭に考え、行動しなければなりません。


しかし、幸いにもはしかのように空気感染ではなく、飛沫感染なので、手洗いを励行して、3条件を厳格に実行すれば感染は防ぐことが可能です。過度に恐れる必要はありません。あくまでも冷静な行動が求められます。

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以上です。

平野俊夫教授


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小森康充
営業トレーナー:小森康充

小森 康充
(こもり やすみつ)

小森コンサルティングオフィス代表
人材育成トレーナー

高い営業能力と顧客コミュニケーション能力により常にハイレベルな売上目標を達成。

世界的エクセレントカンパニーにおいて、アジアパシフィック最優秀マネージャー等数々の表彰を受ける。

後に世界No.1サクセスコーチであるアンソニー・ロビンズのコーチングスキルを習得。

卓越した営業スキルに世界No.1のコーチングスキルをミックス。独自のスキルを確立。

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