2013年09月11日
相手の心の窓を開くポイントの三つ目は、「相手を宝物だと思う」こと
相手の心の窓を開くポイントの三つ目は、「相手を宝物だと思う」ことです。
自分が心の窓を開いていないのに、相手が心の窓を開くことはありません。まず営業マンが自分の心の窓を開かなければなりません。
「このお客様は素晴らしい方だ」「必ず将来契約をしてくれる」「今後、得意先になっていただける」と思わなくてはいけません。
営業マンのほうが、「買ってくれるかな、買ってくれないかもしれないな」「このお客様は気むずかしそうだな」「ちょっと苦手なタイプだな」と思っていると、自分の心の窓が閉じてしまい、それが顔にも出ます。
「宝物」に関してはこんな失敗をすることがあります。
それは、過去にたくさん買ってくれたお客様が宝物で、1回も買っていただけないお客様は宝物ではないという考え方です。
あるいは、今日の商談で見込みがあるお客様は宝物で、「予算がないから今は買えない」と言うお客様は宝物ではないという考え方。
買っていただけるお客様も買っていただけないお客様も、クレームでご立腹のお客様も、すべてのお客様は宝物と思わなくてはいけません。
これは、「過去と将来はリンクしているようでリンクしていない」という考え方をとります。過去に購入していただいたお客様はこれからも購入していただける可能性が高い。しかし、過去に買っていただけていないお客様がこれから将来も買っていただけないかといえば、そうではないということです。
具体的な例を紹介しましょう。
わたしは会社勤めを辞めて独立したときに、個人事務所を構えようと、いくつか賃貸オフィスをあたりました。
ある不動産屋さんから高級なビルに入ったオフィスを紹介され、そこを訪ねたときのことです。
受付で用件を話して、エレベーターで事務所のあるフロアに上がると、若くてきれいな女性がドアの前で待っていてくれて、にこやかに「ようこそいらっしゃいました。どうぞ、こちらの部屋です」と案内してくれました。
管理の行き届いた素晴らしいビルで、事務所も清潔で使いやすそうでした。なにより、その不動産屋の対応が素晴らしくて、うれしくなって早速三ヶ月の契約をしました。
ところがその後、講演やセミナーで全国を飛び回ることになり事務所を構える必要のないことがわかりました。そこで、三ヶ月が終わった段階で契約の更新をしないことにしました。そこで、不動産屋を訪ねてその旨を伝えると、そのとたんに相手の口調が事務的になり笑顔もなくなってしまいました。手続きが終わると、さっさと帰ってくれと言わんばかりで見送りもありません。
契約するお客様には笑顔、解約するお客様には笑顔なし。見送りもなし。
そのとき私が決めたことは、「将来大成功して、ビジネスが大きくなってオフィスを借りることになってもその会社とは契約しない」ということです。
解約するときも笑顔を絶やさず、お見送りをするという気持ちがあれば、私も「今回は申し訳なかった。ビジネスが成功したら、あらためて契約の申し込みをしよう」と思っていたことでしょう。
つまり、どんなお客様も宝物だと思うことができれば、将来が変わってくるのです。
これがすべてのお客様は宝物であるということなのです。
小森康充