2013年09月12日
相手の心の窓を開く話法、ステップ2 アイコンタクト スベらない商談力より
相手の心の窓を開く話法、ステップ2 アイコンタクトの紹介をします。
・ステップ2 アイコンタクト
スポーツの世界でよく使われるアイコンタクトとは、選手が次のプレーに移る前に、仲間の選手に目で合図を送ることをいいます。商談においては、営業マンはお客様に会話を促すときに使います。
この場合のアイコンタクトは、優しくお客様を包み込むような視線です。営業マンは、リード(誘導)の相づちや言葉を使いながら、お客様を優しく見つめます。こうすることによって、快く話をつづけていただくのです。
お客様が話しているときに、営業マンが手元の資料に目を落としたり、ほかのほうを見てしまったりして視線を外すことがありますが、これは厳禁です。
そうではなく、「どうぞお話しください」という雰囲気でお客様を優しい視線で見るのです。
・ステップ3 ミラー(繰り返し)
ミラーとは文字通り「鏡」のことで、営業マンがお客様の鏡になります。
会話の鏡になって、お客様の言った言葉を繰り返します。オウム返しによって相手の言葉を強調するのです。
この繰り返しと「ほかにないですか」という言葉をペアで使って会話を進めてください。
「ほかにないですか」というのは、お客様の言ってることは私の契約に結びつかないので、話題を変えましょうという意味で発する言葉ですが、ストレートに言うと角が立つので、「ほかにないですか」と言うわけです。
ミラー(繰り返し)は強調のテクニックで、「ほかにないですか」は話題転換のテクニックです。営業マンは聞き役に回って、この二つをペアで使いながらお客様の話を誘導します。
会話例をあげましょう。ゴルフメーカーの営業マンが初対面のお客様に対してプレゼンをするケースです。ゴルフ用品を売りたいので、ゴルフスクールに通っているとか、休日はゴルフ場へ行くとか、そんな話題にもっていきたいのですが、まずは「お客様、好きなスポーツは何ですか」から入ります。
[会話例]
営業マン「お客さん、好きなスポーツを教えていただけますか」
お客様「野球とゴルフが好きなんですよ」
営業マン「いいですね、ゴルフですか」(ここでゴルフだけを繰り返す)
お客様「こう見えても大学時代、ゴルフ部だったんですよ」
営業マン「大学時代、ゴルフ部だったんですね」(繰り返し)
お客様「キャプテンだったんですよ」
営業マン「すごいですね、キャプテンだったんですか」(繰り返し)
お客様「そのときの仲間といま、ゴルフサークルを作っているんですよ」
営業マン「いいですね、ゴルフサークルですか」(繰り返し)
次に、「ほかにないですか」をペアで使うケース。
[会話例]
営業マン「お客さん、好きなスポーツを教えていただけますか」
お客様「ぼくは野球が好きなんです」
営業マン「いいですね。これからプロ野球シーズンですね。楽しみですね。野球以外に好きなスポーツありますか」(「ほかにないですか」を使う)
お客様「テニスも好きですね。最近かみさんと一緒にテニススクールに通い始めたんですよ」
営業マン「いいですね。テニスも健康にいいですからね。奥さんとも仲良くてうらやましいですね。テニス以外に好きなスポーツありますか」(「ほかにないですか」を使う)
お客様「そうそう水泳もやりますね」
営業マン「水泳と言いますと」
お客様「最近スイミングスクールに行き始めたんですよ。今度マスターズの大会に出ないかと誘われてるんです」
営業マン「あ、マスターズの大会に誘われているんですか」(繰り返し)
お客様「五〇メートルの平泳ぎに出るんですよ」
営業マン「五〇メートルの平泳ぎに出るんですね」(繰り返し)
このように、「ほかにないですか」と聞きながら、水泳というキーワードが出てきたら、繰り返しによって、さらにお客様の話を引き出していきます。
お客様は、自分から水泳の得意話をしているようないい気分になって、心の窓を開いていきます。営業マンに対していい印象をもつわけですが、じつは水泳の話に誘導したのは営業マンです。
この繰り返しと「ほかにないですか」は、ペアで使ってこそ効果的です。
アメリカ映画を見ていると「エニシング・エルス(Anything else?)」という言葉をよく聞きます。
アメリカのビジネスマンも、お客様との会話のなかで、あるいは会議のなかで「ほかにないですか」を頻繁に使います。
この言葉はタイミングが大事です。タイミングをわきまえて言えるビジネスマンは優秀です。
こうして、「リード(誘導)」「アイコンタクト」「ミラー(繰り返し)」によって、お客様の心の窓が半分くらい開きます。
小森康充