2013年09月13日
得意先浸透 得意先との関係を5段階評価しましょう。

受注の可能性をさらに高めるために
1 得意先浸透で成功率を高める
取引先との関係を5段階で評価する
相手の「心の窓」を開くことで、一歩踏み込んだ情報を得ることができるようになります。そうした情報を得て、さらに得意先との関係を深め、提案前に商談の成功率をより高める方法について述べていきます。
とくに、担当者からどのような情報を引き出せばいいか。また、それを管理、活用するための具体的な手法を紹介します。
まず、営業マンであるあなたと得意先の関係、あるいは、あなたの会社と得意先との関係について振り返ってみましょう。
もし、あなたが担当を引き継いだばかりなら、前任者と得意先がどんな関係だったかを知ることは、今後の商談法を考える大前提となります。
非常に友好な関係が築けていれば、商談はやりやすいでしょうし、もし関係が険悪であれば、それを改善できるよう何か手を打たなくてはいけません。
そこで得意先との関係を、次の5段階で評価してみましょう。
1敵対関係、
2限定的・短期的関係、
3限定的パートナー、
4友好的関係、
5戦略的同盟関係。
通知表の5段階評価と同じで、1が最低で5が最高です。
1の「敵対関係」とは、取引先と信頼関係がまったく築けていない状態です。相手先と自社、お互いが相手と付き合うことのメリットを見いだせない関係です。
極端な場合、相手先にとっての利益が自社の不利益に、自社の利益が相手先の不利益になると思い込んでいるような関係で、そうなるとお互いに取引をしないほうがいいということになります。
たとえば、相手先はあなたの会社やその商品を好ましいと思っておらず、商品を仕入れてもごくわずかで、それもお店の目立たない場所に置いてあるだけ。
競合他社の商品を目立たせるためにお飾り的に置いてもらっても、お客様からはあなたの会社の商品に悪いイメージをもたれるだけです。
実際には、過去にクレーム処理を誤って関係が険悪になっていたり、たんに相手先の担当者と前任の営業マンの相性が悪かっただけということもあります。
いずれにしても現実問題として、双方が相手を好ましくないと感じている関係であることを認識しなければなりません。
2の「限定的・短期的関係」は、相手とビジネスを進めていくうえで、互いに少しの利益は得られると思っている関係。
今後、相互信頼を得て、良好な得意先に発展していく可能性はありますが、現在はパートナーとはいえず、特定の期間にかぎって協力関係をもつというものです。
たとえば、あなたの会社の商品がヒットしていたときに、相手先にしてみれば、ヒット商品だからうちでも扱いましょう。あなたの会社にとっては、どんな店でも置いてさえもらえれば売れるので扱ってもらおう、というような関係です。
3の「限定的パートナー」とは、特定のエリアやジャンルにおいて双方に利益が得られるというビジネス関係です。
たとえば、取引先があなたの会社の特定ジャンルの商品を高く評価をしてくれていて、そのジャンルで相手先の売上げに貢献している場合などです。
こうした取引先との関係をより深めて、より広いジャンルでの協力関係に発展させることが重要になります。
4の「友好的関係」とは、互いに信頼関係が築かれている相手です。
競合他社の商品より、あなたの会社の商品を好意的に取り扱ってくれ、取引によって双方がメリットを得ているというパートナー関係にあります。
両社の利益がいつも一致するわけではありませんが、重複する部分が多く、協力することでお互いの利益を向上させることができると考えられるパートナーです。
相手先は、あなたの会社と協力し、あなたの会社の商品をより多く扱うことで利益が得られると考えていますから、アイデアを出し合って、さらによい結果を得ようとお互いに努力します。
営業マンとしても、新商品を優先的に扱ってもらったり、テスト販売を実施してもらったりできるなど、非常に仕事がしやすい相手先です。
5の「戦略的な同盟関係」は、両社がビジネスを進めていくうえで中心となるすべての部分で相互依存の関係にあります。
相手の利益は自社の利益、相手の不利益は自社の不利益となるような強力な相互関係です。両者は、長期的にビジネスを進めていくことにメリットを感じていますから、オープンに情報を共有し、共通のビジネス戦略を構築します。
お互いの幹部同士が親しい関係にあるため、営業マンも共通の戦略にのっとって動くことになります。
以上のように、取引先との関係には5段階があるわけですが、トップセールスといわれる営業マンは、4の「友好的関係」を多くの得意先に対して築いています。
あなたの重要なお客様を思い浮かべ、この5段階のどこにあるのかを考えてみましょう。
客観的に自分と担当先の関係を把握して、それぞれの関係を1ランクずつアップさせる営業努力をしなければなりません。
小森康充