2016年05月21日

「奉仕の精神を営業で実践する」〜スベらない商談力より〜

「掃除」は私がトップセールスになれた要因のひとつです。

私が新入社員のときの話です。

P&Gに入社して4カ月後、トレーニングを終え上司から初めて「売ってこい」と言われて、ひとりで営業に出ることになりました。緊張しながら一生懸命得意先のスーパー、ドラッグを訪問したのですが、初対面で新入社員の営業マンに注文を出してくれる得意先はありませんでした。

ドラッグストアを回っても「あなただれ?」の世界です。相手は心の窓を開いてくれません。ひとりで営業に出てはじめの1週間は、1件も注文が取れませんでした。

ある日のことです。紙おむつのパンパースを売りに出かけたドラッグでは、たまたまお店が混んでいて、店長はレジで接客に追われていました。店頭にはパンパースが山積されていました。

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「初対面だから名刺交換しないとダメだし、ちょっと待っていよう」と、店頭で暇を持て余しながら何気なくパンパースを見ていると、ほこりをかぶっているのに気が付きました。
私は客のふりをして紙ナフキンの「サッサ」を買ってアルバイトさんに声をかけました。「すみません。P&Gの小森ですが、ちょっとほこりをかぶっているので拭かせてもらっていいですか?」

アルバイトさんは大喜びです。「ああ、お願いします。店長に言っておきます」
「店長さんはお忙しそうなので、後でごあいさつしますね。」と答えて、私はパンパースだけでなくライバル会社の商品も丁寧に拭いていきました。

「お客様が買うのに、埃をかぶっていたら汚いよな。洋服も汚れちゃうかもしれないし」と思ったので、ただ暇だからやっていたのです。そんな私の姿を店長はレジを打ちながら見ていたようです。

 その後、いつものように商談すると店長は注文を出してくれたのです。営業に出てはじめて注文が取れた瞬間でした。

なぜ、売れたのか?

私は最初、その理由がわかりませんでした。商品も同じ、企画も同じ、説明の仕方も同じ、初対面というのも同じです。今までひとつも売れなかった。それが、なぜ今回は売れたのか?

「掃除だ!」

よくよく思い返してみると、これまで掃除をしたことはありませんでした。
当然、掃除は店員の仕事です。メーカー営業マンの仕事ではありません。だから頼まれることなどありません。ただ、自分で時間があったから拭いただけなのです。

「掃除をしたら注文がもらえるんだ!」 それから私の掃除人生が始まりました。

私は新入社員時代、」 こうして丁稚奉公のように掃除をしまくりました。
どこへ行ってもまず掃除。するとガンガン売れるのです。

「従業員でも嫌がるのにありがとうね」店長は口には出さないけれども、きっとそう思っていたと思います。

私からの奉仕というプレゼントを受け取った店長は、心の窓を開き、プレゼントを贈ってくれた相手に何かお返ししようという気持ちになったのでしょう。

こうして私は入社1年目でトップセールスになったのです。




小森コンサルティングオフィス at 12:14コメント(0)トラックバック(0)営業の秘訣 | スベらない商談力  このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

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小森康充
営業トレーナー:小森康充

小森 康充
(こもり やすみつ)

小森コンサルティングオフィス代表
人材育成トレーナー

高い営業能力と顧客コミュニケーション能力により常にハイレベルな売上目標を達成。

世界的エクセレントカンパニーにおいて、アジアパシフィック最優秀マネージャー等数々の表彰を受ける。

後に世界No.1サクセスコーチであるアンソニー・ロビンズのコーチングスキルを習得。

卓越した営業スキルに世界No.1のコーチングスキルをミックス。独自のスキルを確立。

小森コンサルティングオフィスオフィシャルサイト

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