「本当のことを伝えない日本の新聞」
2013年02月10日
「本当のことを伝えない日本の新聞」 マーティン、ファクラー著 (双葉新書) おすすめ書籍の紹介
「本当のこと」を伝えない日本の新聞 (双葉新書)
「本当のことを伝えない日本の新聞」 マーティン、ファクラー著 (双葉新書) を読んでいる。
たいへん面白い。著者のマーティン、ファクラー氏は、ニューヨークタイムスの東京支局長であり、日本取材歴12年のアメリカ人ジャーナリストである。
2011年3月11日の東日本大震災の福島原発事故。この国家存亡にかかわる一大事に日本の大手メディアは、国民に何を報じたか?結果」、当局の隠蔽工作に加担したのである。著者は、そのポイントを日本の「記者クラブ」制度にあるという。
世界のジャーナリストからみると、この日本独特の不可解な「記者クラブ」制度とは、何なのか?
日ごろ日本国民が慣れ親しんでいる大手メディアというものは、客観的に海外のジャーナリストからは、どのように写って見えるのか?たいへん勉強になる1冊である。
この本を読むとよく海外から言われる日本の評価「日本は、国民は一流、政治は二流、マスコミは3流」と言われる。
何故日本のマスコミは、世界から見ると政治よりも低い3流の評価しかないのかがよくわかる。
日本の記者クラブメディアは、福島原発事故で真実を報道できなかった。「SPEEDIのデータ隠蔽がなかったら、福島県浪江町の町民たちは、放射能を浴びる危険から救出できた。」
私がチェックしたポイントは、
1)世界中で高まった日本への不信感
福島原発事故の情報は当初から錯綜した。世界の眼から見ると「東京電力、原子力安全保安委、日本政府は真実を発表していない」という理解であった。
2)原発の危険性とメディアの沈黙
何故日本のメディアは、原発の危険性を今まで沈黙してきたか?嘘に満ち溢れた原子力情報
3)オリンパス事件報道における海外メディアとの落差
ウッドフォード社長の著書「解任」より「私は日本のメディアや捜査当局に連絡しようとは考えませんでした。彼らは「FACTA]の一連の記事を無視しつづけていたからです。彼らに望みを託すにはあまりにリスクが高いと感じていました。」
ウッドフォード社長がオリンパスの不正を発表するのに、日本のメディアを信用していなかった事実が話されています。
4)日本経済新聞は、企業広報掲示板
オリンパスの不正を世界で一番にスクープしたのは、ファイナンシャルタイムズ。
オリンパスに近い日本経済新聞は、オリンパスのプレスリリースをするのみで、不正を暴く力も気概もなし。
5)広告主、スポンサーの言いなりになる日本のメディア
過去著者のマーティン、ファクラー氏が、不良債権処理のみずほ銀行の批判的記事をウオールストリートジャーナルに書いたとき、みずほ銀行の広報担当者から、「批判的な記事を書くと広告を引き上げるぞ」と圧力がかかった。
ウオールストリートジャーナルの上司に相談すると上司の答えは、「広告なんてなくなってもかまわないよ」というものであった。これがジャーナリストであろう。
スポンサーの言いなりで、真実の報道ができない日本のメディアとえらい違いである。
ウオールストリートジャーナルの考えは、「一時的に広告がなくなっても、読者の信頼は継続する。それが長期的な利益に結び付く。」と考える。
6)日本には電力会社や学者、電力行政との癒着文化(culture of collusion)がある。産業界は社会の安全を守ることよりも原子力発電を推し進めることに優先順位があった。(中略)行政は国民ではなく電力会社や産業界の側にたっている。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
時は、自民党政権にもどった。しかし地震大国の日本に、危険な原発を54基もつくったのは、他ならぬ自民党である。
福島原発事故のラーニング(学び)から原発の再稼働などありえない。国民の総意は脱原発であることは明らかである。原発など稼働しないでも、日本に電気はありあまっている。
しかし自民党は危険な原発を再稼働しようとしている。我々国民の世論でもってこのような愚挙は、さけなければならない。
自民党、電力会社、経済産業省、御用学者、マスコミは過去のように癒着して、また我々国民に嘘をつき、危険な原発を再稼働するように働きかけるだろう。それを阻止するのは、我々国民の決意、世論である。
「本当のことを伝えない日本の新聞」 マーティン、ファクラー著 (双葉新書)
「本当のこと」を伝えない日本の新聞 (双葉新書)
すべてのビジネスマンに読んでいただきたいおすすめの1冊である。