藤井一郎
2012年04月01日
「プロフェッショナル、ネゴシエーターの頭の中」 〜決まる「7つの交渉術」〜 藤井一郎著 東洋経済(おすすめ書籍の紹介)
プロフェッショナル・ネゴシエーターの頭の中
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「プロフェッショナル、ネゴシエーターの頭の中」 〜決まる「7つの交渉術」〜 藤井一郎著 東洋経済
を読んでいる。 たいへん面白い。
著者の藤井一郎さんは、早稲田大学卒業後、三菱商事に入社、サンダーバード国際経営大学院でMBA、コンサルティング会社を経て、現在は インテグループ株式会社 代表取締役社長として日々M&Aの交渉の仕事をされている。また格闘技も経験があり、柔道60kgインターハイ出場、極真空手学生選手権優勝等の経歴の持ち主である。
この本は交渉術の本であるが、敏腕M&Aアドバイザーとしての実践経験から「ビジネス交渉」の極意と技法を紹介されていて、たいへん面白く参考になる。
すべての経営者、営業職の人に読んでいただきたい。
章立ては、1)「交渉」を知らなければ、ビジネス界では生きていけない、2)信頼ベースの交渉術、3)満足する交渉術、4)ワンランク上の心理交渉術、5)相手には知られたくない価格交渉術、6)これだけは押さえておきたい立場別交渉術、7)自分の感情をコントロールする方法
私がチェックしたポイントは、
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1)交渉力とは、わかりやすく言うと、強気で交渉できること、つまり、譲歩する必要がない状態のことです。
交渉の7原則
1)合意をしたいと思う温度差(惚れたほうが弱い)
2)他の選択肢(結婚前は1人に絞るな)
3)時間(結婚をあせってはダメ)
4)情報(本当に彼女のことを理解している?)
5)演技力(ウソはダメだが、思わせぶりはOK)
6)客観的状況(親や友達は何て言ってる?)
7)人間力(最後は男の魅力)
2)相手の立場によりインセンティブも変わり、意思決定、行動も変わる
ある外科手術の2つの方法について 神経外科医のアンケート結果
1)一旦椎間板を取り除き器具を挿入する新しい複雑な手法
2)従来からの器具を挿入しない手法
「担当の患者にどの手術をするか?」の問いには、ほとんどの外科医が1の新しい手法を選択した。
ところが、「患者が奥様だったらどちらを選択するか?」の問いには、ほとんどの外科医が2を選択した。
これは1の新しい手法は、従来の何倍もの報酬が入ってくるからである。
3)YESと言わせる6つの武器 (社会心理学者ロバートBチェルディーニ)
返報性、一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性 (これらを有効活用すると人は動く)
4)売り手と買い手はなぜ条件が合わないか?
保有効果とは、人々があるものや状態を実際に保有している場合には、それをもっていない場合よりも、そのものを高く評価してしまう。
5)交渉では、悪い情報ほど早めに開示、よい情報は小出しに
6)フォールス、コンセンサス効果
自分の考えは正しく常識的で、相手も自分と同じように考えるべきで、そのように考えない相手はおかしいと考える。 (実際は 自分の考えは正しく、常識的でない場合もあるのだが)
7)相手に批判されたときの考え方
自分とは違う見方を教えてくれたこと、新しいタイプの人間と知り合えたことに感謝し、コミュニケーションの修行の場と捉えること
8)交渉の2つの重要要素
1)交渉プロセスの中で、双方の信頼感が醸成されること
2)交渉で取り決めた合意事項が問題なく履行されること
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今週の週刊東洋経済(3月31日)に「スマート営業術」という見出しで藤井一郎さんの記事が出てました。その写真です。
著者の藤井さんは、交渉の成立よりも相手との信頼関係の醸成が最も重要であることを強調されています。
何故なら将来のビジネスにつながる可能性があるからです。
たいへん参考になるおすすめの1冊です。 感謝!